| ■No31186に返信(凛さんの記事) > 複素数平面において 1+iを表す点をA 1+ルート3+2iを表す点をBとする。 > 点Aを中心として点Bを反時計回りに30度だけ回転した点をCとする > > Cが表す複素数は? とあるのですが > > 回答は 点A B C を表す複素数を それぞれ α β γ σとおく > 点Aを中心として 点Bを反時計回りに30度だけ回転した点がCnanode > γ−α=(β−α)(cos30度+i×sin30度)となるのですが なぜこうなるのですか? なぜsin30度だけに ×i があるのかがわかりません
複素数平面を勉強していて, 複素数平面が入試に出題されるというカリキュラムを受けているのなら, まず教科書で極形式を中心に復習しなおし. そうでないならあなたは同様の内容を "行列と一次変換" を用いる様式で学ぶはずなので, 複素数平面が分らないなら無理して学ぶ必要は無いと思う.
複素数平面がカリキュラムに入っている前提で少し補足しておくと, 複素数は実数の二つ組だと思えるので, 同様に実数の二つ組として表される "平面上の点" をつかって視覚化する事ができるというのが複素数平面の概念. そして, 複素数平面上の点である複素数に対して複素数を加える (引く) ことは「平行移動」が, 複素数を掛ける (割る) ことは「原点中心の拡大・縮小と原点中心の回転の組合せ」がそれぞれ対応するものとして視覚化される.
また, 平面上の点の表し方には複数のやり方があって, 代表的なものに x-軸と y-軸という原点で直交する 2本の座標軸を持つ直交座標(あるいは斜交座標)系をつかう "普通の" 方法と, 原点からの距離と偏角によって点の位置を指定する極座標系を使う方法があるが, 複素数平面上で同じことを考えると直交形式 (a + bi の形) と極形式 (r(cos(θ) + i sin(θ)) の形) という複素数の二つの表し方を考えることができるということを学んでいるはず. そして > cos30度+i×sin30度 > なぜsin30度だけに ×i があるのかがわかりません というのは極形式の話に他ならない.
極形式は複素数を掛けることを「原点中心に絶対値倍の拡大・縮小」と「原点を中心とした偏角分の回転」という操作として明示的に分る形にしてくれるが平行移動を表すには不便で, 逆に直交形式は平行移動を記述しやすいが回転などを表すには不便というそれぞれの特性があるので, 複素数を直交形式で表したり極形式で現したり, 一方の形を他方に書き換えたりといったことはきちんとできなければ不便.
大体こういったことを踏まえて元の問題は, 回転を考えたいので極形式で > cos30度+i×sin30度 と表される複素数をまず用意. これは原点周りの回転になるけれども問題では点 A(α) の周りでの回転を要求しているので, 平面全体を平行移動して点 A が原点になるように点 B(β) も点 C(γ) もずらすとこれら三点の関係は点 A'(0), 点 B'(β-α), 点 C'(γ-α) について線分 A'B' を反時計回りに30度だけ回転した線分が線分 A'C' だという関係になるので > γ−α=(β−α)(cos30度+i×sin30度)となる という結論に到る. やっていることは, ずらして・回して・ずらし戻すだけの単純な作業だ.
# なお, 平面を表すために複素数の代わりに平面ベクトルによる位置ベクトルを用いる方法を用いると, 拡大・縮小は実数倍 (スカラー倍) に, 平行移動はベクトルの和 (差) に, 回転は行列によって表されることになる. 実際には実数倍も行列で表すことができるので, 複素数平面における極形式 (というか複素数を掛けることで得られる「一次変換」) の役割を行列が担うことになる. 複素数平面を扱わない現行のカリキュラムで行列を学ぶ理由のひとつが, このように幾何学的な操作を代数的な計算で置き換えることができる点にある. # 本来なら同じことを複数の手段で行えるのが望ましいので, 複素数平面も行列 (線型代数) も両方学ぶべきだろうと思うが, 何故か歴史的に二者択一にされているそうだ.
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