| では次に α-|a|α-|b|=0のとき x^3+ax+b=0 ならば |x|≦α を証明します。
直線|a|x+bと-ax+(-b)、x^3を思い浮かべながら考えてください。
まず、a<0,b<0のときを考えます。 さっきの問題の式と等しいので、その結果を流用してしまおうというわけです。
これは 与式の左辺=x^3-|a|x-|b|=0と変形できます。 ∴さっきの問題より正の実根は一つ。 なので0以上の数の部分はこれを使えばなんとかなります。 なぜなら、解があるのは0とα以外ありえないからです。 つまり、
x≧0 かつ x^3+ax+b=0 ならば |x|≦α
です。
※上の不等式は不自然かもしれませんが後の再利用のためです。
次にx^3+ax+b=0かつx<0である数xについて考えてみます。
これは正の実根が一つであった問題で使った解法をもう一回 使ってやることにします。 つまり、αとxをつないだ直線の傾きの式をだし、それが-aに等しいことを使う。 そして、その値をx^3+ax+b=0へ代入するという作業をする訳です。
そうすると、 -αx(x+α)=(-b)
仮定によってα>0,x<0,-b>0です。 そうすると、-αx>0ですね。 ∴x+α>0 つまり、α>-x x<0なので、-x=|x| ∴|x|<α 不等号は「ちいさい(おおきい)または 等しい」ということを示す記号ですから、 |x|≦α は正しいということになります。 というよりもαが|x|よりも大きければ、αが|x|以上であることは自明ですね。
つまり、 x<0,x^3+ax+b=0 ならば |x|≦α
まとめると、 a<0,b<0のとき、 x^3+ax+b=0 ならば |x|≦α ということになります。
つぎにa>0,b<0のときを考えます。 グラフを考えます。開区間(0,α)中に解がありそうです。 関数x^3+ax+b(=f(x)とおきます。)は微分可能です。 ここでうまくf(0)、f(α)の符号が異なれば、中間値の定理が使えます。 そしてfは微分すれば3x^2+aとなり増加関数であることがわかります。 (解がほかにあったら困るので、他に解がないことを探そうとする際に 増加関数であることがとても都合がいいわけです。)
その方針でいきます。
f(α)=α^3+aα+b またαの条件によってα^3-|a|α-|b|=α^3-aα+b=0・・2 ここでf(α)から2式をひけば、 f(α)-0= f(α)− α^3-aα+b = 2aα a,α>0より、 ∴2aα>0 ∴f(α)-0>0 つまり、f(α)>0です。
また、f(0)=b<0です。
これで中間値の定理が使えます。
∴x^3+ax+b=0をみたす解xが解区間(0,α)のなかにある。
そしてfは増加関数でしたね。つまり、f(x)=0の解は1つだけです。 しかも0<x<α つまり、|x|≦αです。
ゆえに、 a>0,b<0のとき、 x^3+ax+b=0 ならば |x|≦α
ここで、グラフを考えます。グラフを書いた紙をくるっとまわすと、 a>0,b>0の場合とa<0,b>0の場合のグラフがさっき考えたものと一致します。 これを利用してやります。 つまり、その紙にとった座標軸x,yを-x、-yに置き換えたものを考えればいいと わかるわけです。なので与式を-xの方程式に直してしまいます。
与式の左辺×(-1)= (-x)^3+a(-x) + (-b) = 0です。 また、
a<0,b<0のとき、 x^3+ax+b=0 ならば |x|≦α
a>0,b<0のとき、 x^3+ax+b=0 ならば |x|≦α
という二つのことを証明しました。xは当然、任意の実数です。
そして、 a>0,b>0というのはa>0,-b<0、 a<0,b>0というのはa<0,-b<0、ということに相当します。
これらを考慮すれば、
a<0,b>0のとき、 (-x)^3+a(-x) + (-b) = 0 ならば |-x|≦α
a>0,b>0のとき、 (-x)^3+a(-x) + (-b) = 0 ならば |-x|≦α
そして、 x^3+ax+b=0 ならば (-x)^3+a(-x) + (-b) = 0であって、 |-x|=|x|です。
ゆえに、 a<0,b>0のとき、 x^3+ax+b=0 ならば |x|≦α
a>0,b>0のとき、 x^3+ax+b=0 ならば |x|≦α
これでぜんぶまとめれば、
a≠0,b≠0のとき、 x^3+ax+b=0 ならば |x|≦α
ちなみに、a=0のときは 普通に方程式を解けばOKです。
ゆえに、
α-|a|α-|b|=0のとき x^3+ax+b=0 ならば |x|≦α
これで終わりです。
|