| > 両辺に 0 を掛けるという操作自体とは無関係のことです。 というとちょっと語弊が有ったかもしれないので補足説明をしておきます。といっても、言ったように同値変形でない操作をしているからだというのは変わりません。具体的には [A] ax + 2y = 3 ...... [1] x - (a + 2)y = 1 ...... [2] と 2 の両辺に a = 0 を掛けた [B] ax + 2y = 3 ...... [1] ax - a(a + 2)y = 1a ...... [2']
とが同値になりません。[2'] は 0 = 0 という当たり前に成り立つ式に変わってしまって、 x と y を特定の値に制限する条件ではなくなり、結局 [B] は単に ax + 2y = 3 ...... 1 だけが書かれているのと同じことになります。
もう少し単純な話にすると、以下の様になります。まず、x = 2 …… [i] という条件を考えます。次に、[i] の両辺に 0 を掛けて [i'] 0 * x = 0 * 2 を考えます。0 * 2 = 0 なのですが、0 * 3 も 0 * 4 も 0* 5 … も 0 ですから、0 * 3 = 0 * 2 も 0 * 4 = 0 * 2 も 0 * 5 = 0 * 2 … も正しい式で、x は 何でもいいということになります。ということで [i] が成り立つとき [i'] が成り立ちますが、[i'] からは [i] が導かれません。[i'] から [i] を「復元」するためには「両辺を 0 で割る」必要がありますが、そんなことはできませんね。
元の問題に戻ると、[A] の [2] の式の両辺に 0 を掛けて [B] を作る操作は正しくて、[A] の解となる x, y はちゃんと [B] の解(の一部)にもなるのですが、しかし、[B] を解いても [B] の解となるたくさんの x, y の中から [A] の解でもあるものを「復元」するためには 0 で割る操作をしないといけなくなるのでダメだということです。つまり、0 を掛けて [B] を作っても「役に立たない」のでやらない、ということです。
もうすこし標語的に > 操作自体はのいいならどうして解が違うのですか? に返答するなら、「正しい操作でも方程式が別のものに変わることがある」ので「操作をしていいということ」と「操作の前後で解が同じかどうかということ」とは無関係だということです。このように、「正しい」にもかかわらず方程式を別物にしてしまう操作としては、本問のような「両辺に 0 を掛ける」ことのほかに「両辺を二乗する」という操作などが典型です。
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