□投稿者/ ポートニック 一般人(3回)-(2020/12/12(Sat) 06:11:20)
| 以下は導出過程です 記号はさっきの記事を継承します
まず必要条件から絞ることを考える 5x^2-2xy-16x-4y^2-18y+2=0 がある整数x,yに対して成立していたとする
-4y = x+9 ± √(21x^2-46x+89) ...(△) となるように符号を選ぶことができる
21x^2-46x+89 = w^2 を満たす整数wが取れる よって, (21x-23)^2 - 21w^2 = -1340 を得る z = 21x-23 とおけば z^2 - 21w^2 = -1340 ...(☆)
ここで I=(z-wα)A とおく (つまり,Iはz-wαで単生成するAのイデアル)
以下, N(.)はAのイデアルのノルム関数とする.
☆より N(I) = |1340| = 2^2*5*17 である
Kの判別式は 21 であるので (21/5) = (21/67) = 1 より 5A,67A は以下のように異なる素イデアルの積に分解する: 5A = (5,α+1)(5,α-1) 67A = (67,α+17)(67,α-17)
また,2Aは既に素イデアルである
したがって N(I)= 2^2*5*17 とあわせて Iは以下の4つのいずれかに一致している:
2A(5,α+1)(67,α+17) 2A(5,α+1)(67,α-17) 2A(5,α-1)(67,α+17) 2A(5,α-1)(67,α-17)
それぞれのイデアルの積を計算すると
(19 + 9α)A,(2 - 8α)A,(19 - 9α)A,(2 + 8α)A となる
(共役を考えれば4つのうち前半の2つだけで残りがわかる)
さて,Aの基本単数を計算することになるが そのためには |p^2-21q^2|=4 を満たす最小の正整数解を求めればよい. (p,q)=(5,1)が要件を満たすので冒頭で定めたεは実は基本単数である. (一般には正則連分数展開から2次体の基本単数は高速に求まる)
I = (19 + 9α)A のときを考える このとき, (z-wα)A = (19 + 9α)A であるので z-wα = ±(19 + 9α)ε^n を満たす整数nが取れる εの共役は 1/ε であるのだから I = (19 - 9α)A のケースを考える必要はない
I = (2 + 8α)A のときを考える このとき, (z-wα)A = (2 + 8α)A であるので z-wα = ±(2 + 8α)ε^n を満たす整数nが取れる εの共役は 1/ε であるのだから I = (2 - 8α)A のケースを考える必要はない
まとめると ある整数nが存在して z-wα = ±sε^n または z-wα = ±tε^n が成立するように符号を選ぶことができる
z = 21x-23 だから z≡ -2 (mod αA) となる よって, ε,s,t をmod αA で考えることで nが偶数であることがいえる
より正確には, z-wα = sε^n または z-wα = -tε^n がある偶数nに対して成立するとなる,
あとは△の右辺が4の倍数である条件を考えるだけでよい. そのためには ε^6≡1 (mod 4A) などに注意して nをmod 6 で類別し s,t,ε^2,ε^4 などをmod 4Aで計算する. ここからはひたすらルーチンなので ここで終わりとする (絞れて得られた解が実際に解になることは難しくない)
以上の解法を4ステップでいうなら まず判別式、次にイデアルの計算、そして基本単数、最後にmodulo計算 (実は今回のパターンではAは単項イデアル整域である そのことはたとえばMinkowski's boundを用いれば易い しかしながらAがPIDでなくても上記解法に不都合は生じない)
導出過程の概略ここまで
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