 | 2025/06/16(Mon) 15:33:38 編集(投稿者)
べき乗演算子^は四則演算子より優先度が高いものとします。 1以外の整数の平方を因数に持たない整数を「無平方数」と呼ぶことにします。
a, b, cは整数で a ≠ 0 とします。 またxを整数として f(x) = ax^2+bx+c とします。 結論から言うと、xが整数のときf(x)が常に無平方数となることはないと言えます。
f(x)は2次関数ですから、f(x) = 1 となる整数xは高々2種類の値しかありません。 同様に f(x) = 0 とか f(x) = -1 となる整数xもそれぞれ高々2種類です。 よって、有限個の整数xを除き、無数の整数xに対して |f(x)| > 1 となります。
整数uに対して |f(u)| > 1 とし、f(u)の素因数の1つをpとします。 この時、ある整数vが存在して、f(v)がp^2で割り切れるようにできることを示します。
ある整数mが存在して f(u) = au^2+bu+c = mp とおけます。 kを整数として v = u+kp とおくと、 f(v) = f(u+kp) = a(u^2+2ukp+(k^2)p^2)+b(u+kp)+c = (au^2+bu+c)+(2au+b)kp+(k^2)p^2 = (m+(2au+b)k)p+(k^2)p^2
(1) 2au+b が法pで0に合同でない場合 m+(2au+b)k ≡ 0 (mod p) となるkを選べます。 pは素数なので法pの剰余類は整域となり、k = -m*((2au+b)^(-1)) とできるからです。 そして、このようなkを用いれば f(v) ≡ 0 (mod p^2) となり、無平方数ではないと言えます。
(2) 2au+b が法pで0に合同な場合 f(u) ≡ 2au+b ≡ 0 (mod p) ⇒ 2a(au^2+bu+c)-u(2au+b) = (2au^2+2bu+2c)-(2au^2+bu) = bu+2c ≡ 0 (mod p) ⇒ b(2au+b)-2a(bu+2c) = (2abu+b^2)-(2abu-4ac) = b^2-4ac ≡ 0 (mod p)
従って、f(x)と2au+bの公約数となる素数pはb^2-4acの素因数でもあると言えます。 f(x)を決めればb^2-4acは定数ですから、b^2-4acの素因数pの種類は有限個です。
しかし、f(x)の約数となる得る素数は無数であることが以下のように示せます。 f(x)の約数となる得る素数の種類が有限個だと仮定すると、 f(x)が無平方数なら|f(x)|は有限個の素数の積、つまり有限の最大値を持つことになりますが、 2次関数の整数値となる絶対値はいくらでも大きくなれるので矛盾です。
よって、|f(x)|が無平方数とならないことがあるか、 または、f(x) = ax^2+bx+cの約数かつb^2-4acの約数でない素数が存在して (1)の場合に帰着できかのどちらかと言えます。
以上から、任意の整数xに対して無平方数となるf(x)は存在しないと言えます。
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