| 集合Pは自然数nに依存して決まるので、P(n)と書くことにします。 任意の自然数nに対して題意のP(n)は存在しないことは以下の様に証明できます。
P(1)が存在したと仮定します。 ある素数pがp ∈ P(1)だったすると、(p^2)+1 ∈ P(1), (((p^2)+1)^2)+1 ∈ P(1)となります。 pが奇数の場合、p ≧ 3ですのでp*p+1は2より大きい偶数つまり合成数となり不合理です。 pが偶数の場合、p = 2ですので(((p^2)+1)^2)+1は2より大きい偶数つまり合成数となり不合理です。 以上から仮定は誤りで、P(1)は存在しません。
n ≧ 2の場合、nは素因数を持ちます。 その素因数の1つをpとすると、ある自然数kを用いてn = kpと表せます。 もしp ∈ P(n)と仮定すると、(p^2)+n = (p+k)p ∈ P(n)となりますが、 (p+k)pはpより大きいpの倍数なので合成数となり、これは不合理です。 以上から仮定は誤りで、nの素因数pはP(n)に属しません。
よって、ある素数qがq ∈ P(n)であるとすると(q, n) = 1となります。 以下の規則で素数r[1], r[2], ・・・を定義します。 r[1] = (q^2)+n ∈ P(n) ⇒ r[1] ≡ n (mod q) r[2] = r[1]*r[1]+n ∈ P(n) ⇒ r[2] ≡ (n^2)+n (mod q) r[3] = r[1]*r[2]+n ∈ P(n) ⇒ r[3] ≡ (n^3)+(n^2)+n (mod q) ・・・ r[m] = r[1]*r[m-1]+n ∈ P(n) ⇒ r[m] ≡ (n^m)+(n^(m-1))+・・・+(n^2)+n (mod q) つまり、任意の自然数mに対してr[m] ≡ Σ[i=1,m]{n^i} (mod q)となる素数r[m]がP(n)に属すと言えます。
n ≡ 1 (mod q)の場合、r[q] ≡ Σ[i=1,q]{1^i} ≡ 0 (mod q)であり、 r[q] > qですからr[q]は合成数となり不合理です。
nが法qで1に合同でない場合、q ≧ 3となりますので、 r[q-2] ≡ Σ[i=1,q-2]{n^i} ≡ {(n^(q-1))-1}/(n-1) (mod q)となりますが、 フェルマーの小定理から(n^(q-1))-1 ≡ 0 (mod q) ⇒ r[q-2] ≡ 0 (mod q)となり、 r[q-2] > qですからr[q-2]は合成数となり不合理です。
従って任意の自然数nに対してP(n)が存在したと仮定しても、P(n)が合成数を含んでいることが示されるので、 題意のP(n)は存在しないことになります。
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