| z=0のときは、確かに成立しますので、以下、z≠0とします。 z=x+iy(x,yは実数)とおくとき、 |e^z|=|e^x||cosy+isiny|=e^x に注意します。
|z|≦|ze^z| ⇔|z|≦|z||e^z| ⇔1≦|e^z| (∵ |z|>0) ⇔1≦e^x ⇔x≧0 により、次の2つを示せば十分です。 x≧0のとき、|e^z-1|≦|ze^z| ・・・A x<0のとき、|e^z-1|≦|z| ・・・B
(Aについて) |ze^z|^2-|e^z-1|^2 =(x^2+y^2)e^(2x)-{(e^xcosy-1)^2+(e^xsiny)^2} =(x^2+y^2)e^(2x)-(e^(2x)-2e^xcosy+1) =(x^2+y^2-1)e^(2x)+2e^xcosy-1=f(x) f'(x)=2e^x{e^x(x+x^2+y^2-1)+cosy} g(x)=e^x(x+x^2+y^2-1)+cosyとおくと、 g'(x)=e^x{y^2+x(x+3)}≧0 (∵ x≧0) g(0)=y^2≧0なので、x≧0においてf'(x)≧0 f(0)=y^2-1+2cosy-1=h(y)とおくと、h'(y)=2y-2siny, h''(y)=2(1-cosy)≧0 h'(0)=0に注意すると、h(y)≧h(0)=0-1+2-1=0なので、f(0)≧0 以上により、任意のyに対して、x≧0のとき、f(x)≧0なので、Aが示されました。
(Bについて) |z|^2-|e^z-1|^2 =x^2+y^2-(e^(2x)-2e^xcosy+1)=i(x) i'(x)=2x-2e^(2x)+2cosye^x i''(x)=2-4e^(2x)+2cosye^x i'''(x)=-8e^(2x)+2cosye^x=2e^x(cosy-4e^x) j(x)=cosy-4e^xとおくと、j'(x)=-4e^x<0, j(0)=cosy-4<0,lim_(x→-∞)j(x)=cosyなので、cosyの正負で場合分けします。
(T)cosy≦0のとき グラフにより、x<0でi'''(x)<0なので、i''(x)は単調減少。 i''(0)= 2-4+2cosy=2(cosy-1)<0, lim_(x→-∞) i''(x)=2なので、 i''(x)=0なるx<0がただ1つ存在します。 それをx=αとすると、2cosye^α=4e^(2α)-2に注意して、 i'(α) =2α-2e^(2α)+2cosye^α=2α+2(e^(2α)-1)<0 (∵ α<0) よって、x<0でi'(x)<0, i(0)= y^2-1+2cosy-1=h(y)≧0なので、x<0でi(x)≧0
(U)cosy>0のとき j(x)=0なるx<0がただ1つ存在します。それをx=βとすると、 i''(0)=2-4+2cosy=2(cosy-1)≦0 i''(β)=2-4e^βe^β+2cosye^β=2+(cosy)^2/4>0 lim_(x→-∞)i''(x)=2>0
(U−@)cosy=1のとき i''(0)=0なので、i''(x)≧0 i'(0)=-2+2cosy=0なので、x<0でi'(x)≦0 i(0)=y^2-1+2cosy-1=y^2≧0により、x<0においてi(x)≧0です。
(U−A)0<cosy<1のとき i''(0)<0なので、i''(x)=0なるx<0がただ1つ存在します。 それをx=γとすると、2cosye^γ=-2+4e^(2γ)に注意して、 i'(γ)= 2γ-2e^(2γ)+2cosye^γ=2γ+2{e^(2γ)-1}<0 (∵ γ<0) よって、x<0において、i'(x)<0です。 i(0)= y^2-1+2cosy-1=h(y)≧0なので、x<0において、i(x)≧0
以上により、任意のyに対して、x<0のとき、i(x)≧0なので、Bが示されました。
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