| 2010/01/14(Thu) 13:47:46 編集(投稿者)
> この定義に何か名前はあるのでしょうか?
一般的な名前はないと思います. (級数による定義といえば, 数学の知識を持つ人には通じるでしょう.)
> また、この定義はどのようにして導出されるのですか?
「定義」なので導出されるものではありません. 定義とはルールのこと. 例えば「二辺の長さが等しい三角形を二等辺三角形と呼ぶ.」という定義(ルール)も何かから導出されるわけではないですよね.
ただしは高校までですでに, 実数から実数への写像として定義されています. そこで, 級数による定義がちゃんとその拡張になっていることを確認しといた方がいいでしょう. (前に書いたとおり, 級数の定義がちゃんと「定義になっていること」も確認しなければなりませんが, それについては後で書きます. )
一旦ちゃんと今まで使ってきたの拡張になっていることが確認できたら, 高校までの定義は忘れて, 級数の定義を一番の出発点にしていいわけですね. (もちろん, 高校までの定義をはじめから忘れて, はじめから級数の定義を採用してもいいですが, その場合は高校までに習ったの性質を一から確認する必要があります. まあ多くの性質はからへの写像と思っても成り立つので, どちらにせよ確認する必要はあるのですが. )
高校までの定義の拡張になっていることをどう確認するのか書こうと思ったのですが, やはり級数の定義がちゃんと定義になっていることの確認の方が先にやるべきことですし, 長くなりそうなので自分で考えてもらうことにします. (機会があれば書きます.)
>>で定義されます. 全て複素数体からへの写像で, well-definedです. (つまり右辺の級数は各点で(絶対)収束するということ.) >>この確認は必要ですが, 省略します. > > この辺りの説明が理解が追いつかず、よくわからないのですが、 > もう少し詳しくお願いします。
だけ詳しく説明します. (も同様なので.) という写像を
で定義すると言ったわけですが, がちゃんと各でとなっているかどうかは確認する必要があります. つまり,
となること, この級数が収束すること, を確認しないといけないのです. 例えば, 写像を
で定める. と定義(らしきものを)しても, はからへの写像になっていませんよね. たとえばが存在しないので. つまり, 上のの定義らしきものは, 実は定義になっていないということです. このように定義らしいものが実は定義になっていないことを, 「well-definedでない.」と表現します. 逆にちゃんと定義になっていれば「well-definedである.」と言います.
さて, がwell-definedであることを調べましょう. つまり任意のに対し,
が収束することを示しましょう. これはダランベールの収束判定法を使えば簡単です.
各に対してで, これはでに収束します. これより級数が収束することが分かりました. (ダランベールの判定法は解析の本やネット上にあるはず. 分からなければ調べてください.) より正確には絶対収束することが分かりましたので, 和をとる順序などは適当に変えていいことも知りました.
これでちゃんとがwell-definedであることは示せました. (もちろん, まだ連続性や微分可能性などについては全く分かっていませんが. )
> それと、 と は、どのように定義されているのでしょうか?
について和を取っていますが, が偶数の場合と奇数の場合に分けて和を取りなおしただけです. 定義も何もありません.
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