| 空集合に を充てるのは昔の写植で該当フォントが無い時に使われた代用表記で出自も異なるものなので, 既に印刷技術も様変わりした昨今いまだに検定教科書なんかで を使っているのは悪習に属する話だろう. の使える状況でわざわざ と書く理由はあまり無いと思う.
通常は「集合の差」 は で定義される. 一方, よりは と書かれることが多いと思うが, は「対称差」と呼ばれ, で定義される. ブール代数では, 差(あるいは対称差)と共通分(積集合)をそれぞれ加法と乗法とする環構造を扱うので, 確かに対称差を (加法であるということを強調する意味で) と書くことはある. 逆に「集合の直和」に対してこの記号 を遣うことはまず無いといっていいだろう.
どんなものでもそうだが, 記号の「意味」というものは文脈に完全に依存するものであり, 記号それ自体が天賦の意味を持っているわけではないことには注意をするべきだと思う. またよく使われる表記にいくつかの流儀がある場合に「違いはなんですか, 同じだと思いますが」と言ったようなやり取りをしてもあまり益はないので, やめたほうがいいだろう. 高校までの数学は特殊で, あまり同一の記号で複数の意味になるようなことが起きないようにしてあるものだが, それでも "a と b との最大公約数" も "端点が a, b (a < b) の開区間も同じく (a, b) と表すようなことは出てくるし, 大学以上の一般の数学ではある程度の慣習を除けば, 文脈を無視して表記だけかかれたものだけからは意味が通じないのは当たり前に出てくる.
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