| 実数の連分数展開がカギのように思います。 有名事実を既知として証明の概要を述べます。
正の実数αが有理数ならば、α=n/m(既約分数表示)に対して、 (p,q)=(nk,mk)(kは2以上の整数)とすれば、 |α-p/q|=|n/m-n/m|=0≦1/((mk)^2*√5) が成立するので、|α-p/q|≦1/(q^2*√5) を満たす自然数p,qの組は無数に存在します。
正の実数αが無理数の場合を考えます。 αを連分数展開し、得られた連分数を途中で切ることで 有理数[c[0],c[1],・・・,c[k]]が得られます。 実は、数列{p[k]},{q[k]}を p[k]=c[k]p[k-1]+p[k-2],p[-1]=1,p[0]=c[0] q[k]=c[k]q[k-1]+q[k-2],q[-1]=0,q[0]=1 で定めると、任意の自然数kに対して、 p[k]/q[k]=[c[0],c[1],・・・,c[k]] であり、 p[2k]/q[2k]<p[2k+2]/q[2k+2]<α<p[2k+1]/q[2k+1]<p[2k-1]/q[2k-1] および p[2k]q[2k-1]-q[2k]p[2k-1]=-1 が成立することが知られています。
よって、自然数の組(p[2k],q[2k],p[2k-1],q[2k-1])は p[2k]q[2k-1]-q[2k]p[2k-1]=-1かつp[2k]/q[2k]<α<p[2k-1]/q[2k-1] を満たしているので、すでに示したように |α-p[2k]/q[2k]|<1/((q[k])^2*√5) |α-p[2k-1]/q[2k-1]|<1/((q[2k-1])^2*√5) |α-(p[2k]+p[2k-1])/(q[2k]+q[2k-1])|<1/((q[2k]+q[2k-1])^2*√5)) のうち少なくとも一つは成立します。
さらに、任意の自然数kに対して、 p[2k]/q[2k]<(p[2k]+p[2k-1])/(q[2k]+q[2k-1])<p[2k+2]/q[2k+2]<α<p[2k+1]/p[2k+1]<p[2k-1]/q[2k-1] が成立することに注意すれば、 |α-p/q|≦1/(q^2*√5) を満たす自然数p,qの組は無数に存在することが分かります。
|